Osteria Nakamura

 

☆Vol.6 リモンチェッロ

 関東地方の梅雨入りも間近と伝えられる今日この頃…。この時期に出まわるものといえば青梅で、毎年ご自宅で梅酒を作られる方もいらっしゃることと思います。食材の旬がわからなくなったと言われる近年でも、青梅、そして果実酒用の密閉ビンに氷砂糖やホワイトリカーがそれに並んでいるのを見ると、季節を感じないではいられません。
  梅の実とはちょっと趣を異にしますが、イタリアではちょうど今頃、家々の庭から伸びたリモーネ(レモン)の枝に大きな実がなっているのを眺めることができます。イタリアのレモンは大きくて、日本のレモンのゆうに2倍はあります。その大きなレモンを使って、日本の梅酒と同じように、各家庭で漬けられるのがリモンチェッロなのです。
  リモンチェッロは、もとは南イタリアで伝統的に飲まれていた食後酒でしたが、それがのちにイタリア全土に広まりました。リモンチェッロの産地として代表的なのはソレントやカプリ島、アマルフィなどですが、地域によってアルコール度数や製法が微妙に異なります。さらに、梅酒と同じで、家庭によって(マンマによって!?)やはり作り方も異なるのです。基本的な作り方は、レモンの皮のみ(苦味が出ないように白い部分を削らないようにするのですが、日本のレモンでは大変そう)を用いて、それを数日アルコール(イタリアでは95%前後のアルコールを用いる)に漬けて香りを出し、それを漉したものに砂糖を煮とかして作ったシロップを加えるというシンプルなもの。レモンの皮だけでなくしぼったレモンのジュースを加えるといった工夫や、シロップの濃さ・甘さ・割り加減などで、香り・味わい・アルコール度数も異なるオリジナルのリモンチェッロができあがるというわけです。
  オリーヴオイルやガーリックをたくさん使うイタリア料理を食べた後、食後酒のリモンチェッロは口の中をさっぱりと洗い流し、消化を助けて爽快感を与えると言われています。ただし、商品として売られている一般的なリモンチェッロはアルコール度数30%前後のものがほとんどですが、イタリアの家庭で作られるものは50%を超えるものが多く(何せ元が95%ですから!)、イタリアでマンマに勧められるままにグイっとグラスを空けていたらひっくり返ってしまったなんて話も聞きますのでご注意を。
  われらがナカムラシェフも特製リモンチェッロのレシピをお持ちです。オステリアナカムラの歴史において、運よくシェフのお手製リモンチェッロのお味見を体験したお客さまもいらっしゃることでしょう。その鮮烈な飲み口はシンプルでワイルド、後口スッキリ!でファン多し、なのですが…いつもはないのが悲しいところ。お客さまにリクエストされたら、密かにシェフの仕込みが始まるかも!?
  ちなみに国産レモンの全国シェアナンバー1は広島県!瀬戸内海に浮かぶ島・瀬戸田町(生口島・高根島)が国産レモン発祥の地だそうです。現在でもこの瀬戸田産レモンだけで、国産レモンの約4割のシェアを誇るとか。
  さて、みなさんも今年は梅酒とともに、自家製リモンチェッロに挑戦してみてはいかがでしょうか。

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