Osteria Nakamura

☆Vol.8 ラグーの相性

 オステリアナカムラの人気メニューの一つにラグーがあります。イタリア料理では煮込み、特に肉を煮込んで作ったソースをラグー(ragu)と呼びます。日本で言うところのミートソースも、イタリアでは特にボローニャ地方でよく食べられるラグーの一種。ラグーはショートパスタやラビオリ、フェットチーネなどいろいろなパスタと合わせることができるのですが、個人的には、ナカムラのラグーはぜひニョッキでもお試しいただきたい一品。
  ニョッキは古代ローマの時代からある料理です。主にジャガイモと小麦粉とをまぜて作られますが、古くは、小麦粉だけを練って作る、お腹にたまる料理でした。日本で言えばすいとんのようなものでしょうか?今ではジャガイモ以外にも、カボチャやホウレン草、リコッタチーズをねりこんだり、合わせるソースを工夫することによって実にいろいろなバリエーションのうまれる料理の一つとなっています。
  オステリアナカムラシェフで供されるラグーは、「大山鶏のレバー」や「いのししと栗」、「仔羊」、「きのこ」など、ともすれば個性の強すぎる素材が多いのですが、直行シェフはその個性をうまく生かして、滋味に富み野性味あふれるしみじみとしたおいしさを引き出しています。
  このラグーは、パスタにもニョッキにもよくからみますが、もうひとつ、リゾットでも召し上がっていただけるのがナカムラ流。
  ご存知の通り、南北に細長いイタリアは料理も地域ごとの特色が強く、パスタの種類も実に豊富ですが、北部では米作が盛んなため、米料理もバリエーションに富んでいます。日本でも人気のリゾットはその一種で、米をいため、スープで炊いたもの。見た目は日本のおかゆや雑炊に似ていますが、リゾットはアルデンテ、米にわずかに芯を残すくらいで仕上げる点が異なります。そしておもしろいことに、イタリアではリゾットはフォークで食べるものとされています。仕上がった時にスープが一体化せずに残ってしまっているのはリゾットではない、ということでしょうか。厳し~い!ナカムラのリゾットはもちろんフォークで食べられますが(笑)、ここは日本、スプーンが食べやすければどうぞスプーンで。ラグーはもちろん、定番のパルミジャーノチーズやこの季節ならではのイチゴのリゾットもおすすめです。
  話はそれましたが、同じラグーでも、ソース全体がよくからむロングパスタ、歯ごたえのあるショートパスタ、優しい弾力のあるニョッキ、あっさりとした中にも旨味が凝縮されたリゾット、合わせ方・食べ方で印象も変わるものです。ご来店の折りにはラグーの競演をぜひお試しになってみてください。

 

 

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